厚生労働省は7月31日に医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会を開き、2028年度の医学部臨時定員の方針と配分について話し合った。事務局が示した調整方法の案に構成員から反対意見は出なかったが、出された意見を踏まえて議論を続けることになった。
28年度医学部臨時定員の方向性は前回の会合(4月17日)で議論されており、「地域の実情を適切に考慮した上で、我が国全体として削減を図る方向性が妥当ではないか」との考え方が示されている(資料P3参照)。
7月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026」でも、「かかりつけ医機能の発揮や医師の地域・診療科偏在の更なる是正策、大学病院等からの医師派遣の推進を含めた総合的な医師偏在対策、地域の実情を考慮した28年度以降の医学部定員の削減に取り組む」との方針が盛り込まれている(資料P8参照)。
事務局はこれらを踏まえ、28年度の医学部臨時定員について、地域の実情に適切に配慮しつつ、26年度の臨時定員数から引き続き削減を進めることとし、その調整方法を検討してはどうかと提案した。そのうえで、基本的な方針と地域の実情への配慮に関する考え方を以下のように示した(資料P11参照)。
基本的な方針では、地域枠や地元出身者枠(地域枠等)は医師確保に重要であることから、各都道府県で必要な地域枠数は確保する方向で、恒久定員内への地域枠設置を後押しする支援なども含めて取り組むのが適切だとした。地域枠等以外については、「多くの県で県外への流出がみられる上、医師の確保がより必要な地域で活躍することなく、医師が比較的多い都市部などの医師数を更に増加させることにつながる」状況にあり、医師の偏在をさらに悪化させると指摘した(資料P29参照)。
こうした状況と今後の18歳人口の減少を踏まえれば、「恒久定員内への地域枠設置を含め一般枠での更なる取り組みを進める」とともに、「各都道府県の臨時定員は削減する」ことが適当ではないかとした。ただし、医師偏在の観点から医師確保のニーズが特に高い県については、「まずは臨時定員の削減に向けた検討を行うこととするなど、一定の配慮を行う」ことも考えられるとの見方を示した(資料P29参照)。
地域の実情への配慮については、都道府県ごとに医師偏在指標にばらつきがあることを踏まえ、たとえば全国値を下回る県での削減には一定の配慮をすることが考えられるとした(資料P29参照)。
75歳以上の医師の割合が高い都道府県への配慮については、定員の固定化を防ぐ観点から、配慮の水準(現行は医師多数県の中で上位3分の1)をどう設定するかという問題意識を示し、「例えば、医師が少なく条件が不利な医師少数県における割合の分布の状況を勘案して設定することが考えられるのではないか」とした(資料P29参照)。
また、恒久定員内への地域枠設置をさらに進める必要があることから、直近の設置状況を踏まえ、現行の「恒久定員100名当たり恒久定員内地域枠6名以上」という配慮の水準について意見を求めた(資料P29参照)。
今村英仁構成員(日本医師会常任理事)も「大枠の案については賛成」と述べた。そのうえで、医師の卒業大学の所在地と勤務地の関係などのデータに触れ、「医師の流れから、対策を具体的にどのようにすればよいかを考えられるようなデータに整理していただければ」と求めた。
印南一路構成員(医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構副所長)は、「人工知能が医師をすぐ代替するとはとても思えないが」と前置きしたうえで、「医師の需給が予想以上のスピードで逆転する可能性もある。少なくとも研究レベルでAIがどれぐらい医師の需給にインパクトを与えうるのか、シミュレーションなり実験なりをしておく必要があるのではないか」と指摘した。
(資料公表日 2026-07-31/MC plus Daily)






