日本病院団体協議会は7月30日付で、「新型コロナウイルス感染症治療薬の診療報酬上の取扱いに関する緊急要望書」を上野賢一郎厚生労働相あてに提出した(資料P1参照)。
厚労省は2026年5月28日付で「『令和6年度診療報酬改定による恒常的な感染症対応への見直しを踏まえた新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の取扱い等について』等の廃止について」を発出し、新型コロナウイルス感染症に関する診療報酬上の特例措置を終了。以降は通常の診療報酬体系で対応することになった(資料P1参照)。
要望書は、この廃止に伴い、新型コロナウイルス感染症治療薬が地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟のほか、精神科救急急性期医療入院料、精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料といった特定入院料(一部包括評価)の包括範囲に含まれることになったと説明。その結果、高齢者の救急や在宅復帰、身体合併症のある精神救急を担う病棟に「深刻な影響が生じる懸念がある」と訴えている(資料P1参照)。
具体的には、基礎疾患のある高齢者や重症患者は新型コロナウイルス感染症が重症化しやすく、病棟内でクラスターが起きた場合には「患者の命を守るため、医学的適応に基づき高額な新型コロナウイルス抗ウイルス薬(患者1人当たり数万円-10万円程度)を多数名に投与せざるを得ない」と、薬剤投与にかかる費用負担の実情を説明した。現行制度ではこうした高額な薬剤費がすべて包括されるため、必要な治療を行えば行うほど医療機関の持ち出しが膨らみ、病院経営を圧迫するとの危機感を示している(資料P1参照)。
要望の背景・理由には、▽包括評価による負担が特定の病棟機能に偏在▽医療機関の自助努力の限界▽国民への医療提供への影響-の3点を挙げ、早急な改善措置を強く求めた(資料P2参照)。
改善策としては、薬剤料が包括評価の対象となる入院料を算定する病棟で、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き(厚労省)」などにより重症化リスクが高いとされる患者に新型コロナウイルス抗ウイルス薬(パキロビッド、ラゲブリオ、ゾコーバ等)を投与した場合に限り、その薬剤料を包括評価から外し、出来高で算定できるようにすることを提案した(資料P2参照)。
見直しの対象とする入院料には、▽地域包括医療病棟入院料▽地域包括ケア病棟入院料▽回復期リハビリテーション病棟入院料▽療養病棟入院基本料▽障害者施設等入院基本料▽有床診療所療養病床入院基本料-などを列挙。これら以外でも、新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス薬の薬剤料が所定点数に包括される入院料には、同じ取り扱いを適用するよう求めた(資料P3参照)。
日病協は、地域医療の最前線で高齢者をはじめとする重症化リスクの高い患者を支える医療機関が、安心して適切な診療を行えるよう、「特段の配慮と迅速な対応」を求めている。
(資料公表日 2026-07-30/MC plus Daily)






