全国自治体病院開設者協議会と全国自治体病院協議会は19日、医療物資の確保や物価高騰への対応、財政措置の拡充などを求める緊急要望書を、総務省と厚生労働省に提出した(資料1-P1参照)。
要望書は、自治体病院が救急や小児・周産期、感染症といった高度な医療に加え、民間医療機関では採算をとりにくいへき地・離島の医療など、地域に欠かせない医療を公平・公正に、かつ継続して提供する重要な役割を担っていると説明。医療資源の乏しい中山間地域などでは「特に重要性は大きい」とし、「地域医療の最後の砦として住民の生命と健康を守る医療提供の使命を果たさなければならない」と記した(資料1-P1参照)。
その一方で、▽エネルギー価格や入院患者の食材費、医療材料費などの物価高騰▽新型コロナ後の患者減少▽医療DX推進のための専門職種の人材不足▽人件費高騰-などにより、財源不足が深刻になっていると指摘した。全国自治体病院協議会が会員病院を対象に行った2025年度病院事業決算状況調査では、84%の自治体病院で経常損失が出ていた。医業費用も前年度より3.0%増えるなど経営の悪化が明らかになり、「医療提供体制の維持・改善は益々厳しい状況」と苦境を訴えた(資料1-P2参照)(資料2-P5参照)(資料2-P6参照)。
26年度の人事院勧告が求めたベースアップ(平均3.51%、若手はそれ以上)に対し、診療報酬改定で確保された財源(ベースアップ評価料:平均1.70%)では足りない点も問題視した。実際の給与支給額が評価料による収入を大きく上回る自治体病院が多くなる見通しで、「経営環境は益々厳しくなる」と強い危機感を示した(資料1-P2参照)。
このままでは病院間の連携や再編など、病院のあり方そのものが問われかねない事態を招くおそれがあるとし、自治体病院の経営努力だけで乗り切るのは「困難な状況」だと主張。「経済財政運営と改革の基本方針2026」で医療機関の経営に支障が生じた場合の必要な調整に触れられていることを挙げ、「対応策の具体化」を求めた(資料1-P3参照)。
具体的な要望は、(1)医療物資確保および物価高騰への対応(2)財政措置等の大幅拡充(3)再編・統合等における財政支援の強化-の3点(資料1-P3参照)。
(1)では、中東情勢などの緊迫化を受けて、医薬品・医療機器・燃料油などの確保と価格の安定策を求めた。各医療機関の経営状況を丁寧に把握したうえで早急に支援体制を整えることや、診療報酬の中間年改定を含む財政上の措置を要請。燃油やナフサなど石油由来製品の安定供給と適正価格の維持に向けた万全の対策も強く求めた(資料1-P3参照)。
(2)の財政措置では、公立病院への制度的・財政的な支援や補助金の充実を求めた。27年度の地方財政計画で病院事業繰出金を増やし、地方交付税措置を拡充すること、さらに差し迫った課題に対応するため26年度の特別交付税措置額を大幅に増やすよう要請した(資料1-P3参照)。
(3)では、病院事業債の元利償還金に対する地方交付税措置の対象となる建築単価の上限が、26年度に1平方メートル当たり59万円から85万円に引き上げられたものの、資材価格の高騰が続くなかでは依然として整備が難しいとして、さらなる引き上げを求めた。あわせて、公立病院の機能分化や連携強化に伴う施設・設備整備のための病院事業債(特別分)について、期間の延長や要件の緩和など柔軟な対応を要望した(資料1-P3参照)。
(資料公表日 2026-08-19/MC plus Daily)






