厚生労働省は3日、「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の会合を開いた。6回目となる関係団体へのヒアリングが行われ、日本重症心身障害福祉協会や日本医師会などが、2027年度障害福祉サービス等報酬改定に向けた意見を述べた。
日本重症心身障害福祉協会は、療養介護の人手不足を解消するための職員配置基準の抜本的な見直しと、個々のニーズに応じた加算措置を要望した。利用者の日中活動の選択肢を広げ、地域移行を見据えた体験ができるよう、療養介護と他の日中活動系サービス(生活介護等)を柔軟に併用できるようにすることも求めた。設備・資金面では、ICT機器や介護ロボットの導入費用に対する補助の充実に加え、物価や人件費の高騰で難しくなっている老朽化施設の建て替え・改修のため、施設整備費の拡充が必要だと主張。さらに、医療的ケア児の一時的な預かり支援へのニーズの高まりを踏まえ、医療型短期入所(ショートステイ)事業の機能強化と制度の充実も訴えた(資料1-P3参照)。
日本医師会の江澤和彦常任理事は総論として、(1)持続可能な制度としていくための課題および対処方策、(2)人材の確保・育成・専門性向上および業務の負担軽減・効率化に向けた課題および対処方策、(3)24年度報酬改定および26年度報酬改定後における経営の状況、賃上げや物価等への対応状況、(4)過不足のないサービス提供体制の確保に向けた課題および対処方策、(5)より質の高いサービスを提供していく上での課題および対処方策・評価方法、(6)地域生活の支援や重度化・高齢化への対応、他制度との連携強化その他各分野における様々な課題への対応方策-の6つの視点を示した。
(1)では、障害福祉サービス等の供給体制が需要を生み出している面は否定できないと指摘。地域の需要をきめ細かく把握し、過不足なくサービスを提供できる体制である「地域障害福祉構想」を早急に構築すべきだと訴えた。26年度から同構想の研究事業が始まることについて、江澤氏は「期待している」と述べた。需要推計にあたっては、障害福祉DBや障害SCRを使って直近の状況を反映し、40年に向けて需要に応じたサービス提供体制を随時見直していく必要があるとした(資料2-P17参照)。
(2)では、「処遇改善がある」ことを前提としたうえで、離職防止に向けて好事例を共有すべきだと提案。特に「身体拘束の廃止」と「虐待防止」については、社会情勢も踏まえ、報酬改定を通じて推し進めるべきだと主張した。生産性向上はこれまでも評価されてきたものの、ランニングコストが事業所の負担になりがちだとして、「工夫が必要だ」と述べた。効率化については、サービスの質を確保することを前提に、専従要件の緩和や兼務の容認など、報酬の基準・要件の柔軟な運用を検討課題に挙げた(資料2-P18参照)。
(3)では、経営実態をより精緻に調べるよう求めた。これまでの調査では、同じサービスでも調査のたびに勘定項目の数値が大きく変わる例があり、まずは正確に実態をつかむ必要があるとした。賃上げや物価高騰への対応は基本報酬とは切り離して行うよう求め、「3年間据え置きの報酬改定のままでよいのか」と問題提起した(資料2-P19参照)。
質の高い相談支援の推進については、機能強化型サービス利用支援費に「相談支援専門員の複数配置要件などストラクチャー要件が目立つ」と指摘。介護報酬の居宅介護支援における「特定事業所加算」を引き合いに、「要介護3以上の利用者が4割以上、研修会、事例検討会を他法人と連携し実施するなどの要件が設定されている。重度者への対応や医療・介護との連携などプロセス要件を導入し、充実させていく方策もあるのではないか」と提案した(資料2-P20参照)。
「医療と福祉の連携」では、「さらなる連携強化が求められる」と強調。具体策として、通院が難しい障害児・者が自立した日常生活を送れるよう、医師が療養上の指導・管理を行う「居宅療養管理指導」の新設を求めた。また、地域での生活の定着を進めるには在宅の主治医と相談支援専門員の連携を強める必要があるとして、急変時の医師による助言や情報提供を評価する「ケアマネジメント支援加算」の創設も要望した(資料2-P22参照)。
この日の会合では、厚労省が「障害福祉サービス等報酬」の名称を今後「障害福祉報酬」に改めると発表した。「診療報酬」や「介護報酬」に比べて名称が長く、「等」が入ることで「分かりづらく世間に浸透しづらい」という課題があったことを理由に挙げた。検討会の名称も次回から「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」から「障害福祉報酬改定検討チーム」に変わる(資料3-P30参照)。
(資料公表日 2026-08-03/MC plus Daily)






