2027年度介護報酬改定までの暫定措置、訪問看護指示書の有無や実施内容で算定方法が異なる
2026年度診療報酬改定により、看護師などが患者のそばで医師のオンライン診療を支援する「D to P with N」の評価が見直された。新たに「訪問看護遠隔診療補助料」が設けられたことを受け、介護保険の利用者に同様の支援を行った場合の報酬算定についても取り扱いが整理されている。
厚生労働省は2026年5月8日付の事務連絡で、介護保険における訪問看護費の請求方法を示した。2027年度の次期介護報酬改定までの暫定的な対応として、訪問看護指示書の有無や、通常の訪問看護を同時に実施するかどうかによって算定方法を区分している。
オンライン診療を支援する看護師の活動を評価
「D to P with N」は、医師(Doctor)がオンラインで患者(Patient)を診察する際、看護師など(Nurse)が患者のそばに同席して診療を補助する仕組みだ。
通院が難しい患者に対して、医師が遠隔地から診察を行い、現場の看護師が必要な支援を担うことで、在宅医療におけるオンライン診療の活用が期待されている。
2026年度診療報酬改定では、この診療形態を評価するため「訪問看護遠隔診療補助料」を新設。医療機関が算定する場合は265点、訪問看護ステーションが訪問看護療養費として算定する場合は2,650円とされた。
一方、介護保険の利用者に対する報酬算定については、医療保険とは異なる取り扱いが必要となることから、厚生労働省が具体的なルールを示している。
訪問看護指示書がある場合は20分未満の報酬を適用
介護保険の利用者に対し、あらかじめ予定された訪問看護を行わず、オンライン診療の補助のみを実施するケースでは、所要時間20分未満の「(介護予防)訪問看護費」を算定する。
対象となるのは、訪問看護指示書の有効期間内にある利用者で、訪問看護計画書に予定された訪問看護がない場合だ。
算定単位数は以下のとおり。
| 区分 | 訪問看護ST | 医療機関 |
|---|---|---|
| 訪問看護費 | 314単位 | 266単位 |
| 介護予防訪問看護費 | 303単位 | 256単位 |
いずれも所要時間20分未満の区分を適用し、算定は月1回までに限られる。
この取り扱いは、2027年度の次期介護報酬改定までの暫定的な措置とされている。
訪問看護指示書がない場合は医療機関が診療報酬を算定
連携先の医療機関から依頼を受け、訪問看護指示書が交付されていない利用者に対してオンライン診療の補助を行う場合は、請求の仕組みが異なる。
この場合、所定の要件を満たせば、医療機関が診療報酬の「訪問看護遠隔診療補助料」265点を算定する。
訪問看護ステーションは介護保険の訪問看護費を算定せず、医療機関との協議によって費用を精算する仕組みとなる。
ただし、対象は在宅療養中または緊急の診療を必要とする通院困難な患者で、医師が看護師等の同席を必要と判断し、患者の同意を得て診療補助を実施する場合など、所定の条件を満たすケースに限られる。
事業所側では、実施前に医療機関との役割分担や費用精算方法を確認しておくことが重要となる。
通常の訪問看護と同時実施なら所要時間を合算
計画的な訪問看護を実施する際に、オンライン診療の補助もあわせて行う場合は、別の取り扱いとなる。
この場合は、通常の訪問看護に要した時間とオンライン診療の補助に要した時間を合算し、その合計時間に対応する区分の訪問看護費を算定する。
例えば、訪問看護計画書に基づく訪問看護とオンライン診療の補助を同じ訪問の中で実施した場合、それぞれの所要時間を合計して算定区分を判断する。
オンライン診療の補助だけを実施した場合と、計画的な訪問看護に組み込んで実施した場合では算定方法が異なるため、実施内容と所要時間を適切に記録しておく必要がある。
訪問看護事業所には算定条件の確認が重要に
今回の取り扱いの明確化によって、介護保険の利用者にオンライン診療の補助を行う場合の請求方法が整理された。
訪問看護事業所にとって重要なのは、訪問看護指示書の有効性、訪問看護計画書に基づく訪問の有無、オンライン診療の補助に要した時間などを確認することだ。
また、医療機関が診療報酬を算定するケースでは、事業所との費用精算について事前に取り決めておくことが、円滑な運用につながる。
在宅医療におけるオンライン診療の活用が広がるなか、看護師等が診療を支援する役割は今後さらに重要になると考えられる。2027年度の介護報酬改定に向けて、こうした取り組みがどのように評価されるかも注目される。
※2026年7月29日時点の制度情報に基づく。
参考資料: 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1501」(2026年5月8日)




