注目! [医療提供体制] 骨折・転倒を防止へ「攻めのリハビリ」 日慢協が提言

日本慢性期医療協会 定例記者会見(7/23)《日本慢性期医療協会》

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日本慢性期医療協会は7月23日、定例記者会見を開き、橋本康子会長が「骨折・転倒を防ぐ攻めのリハビリ-寝たきり・要介護を防ぐ、これからの予防的リハビリ-」をテーマに、健康寿命延伸に向けた予防的リハビリテーションの必要性を説明した。要介護状態となる要因の上位に挙がる「骨折・転倒」を防ぐための「攻めのリハビリ」は要介護の減少や健康寿命の延伸に繋がり、寝たきりゼロに向けた現実的な戦略であると提言した。また、予防領域においては、「理学療法士、作業療法士などのリハビリ専門職の活躍が期待される」と強調した(資料P2参照)。
 
今回の提言の背景には、「骨太の方針」や地域医療構想の議論の中で予防医療や予防的リハビリへの言及が増えていることがあると説明。平均寿命の伸びに対し健康寿命の伸びが近年停滞していると指摘した。
 
要介護状態となる主な原因として、厚生労働省が実施した「2022年国民生活基礎調査(介護票)」を踏まえ、認知症や脳血管疾患のほか「骨折・転倒」が上位を占め、特に女性では複数回答で27%に上ると説明した。また、骨粗鬆症の有病率は70歳代女性で3人に1人、80歳代では2人に1人に達するとし、「転んだらすぐに骨が折れるような状況になっている」と述べた。男性は骨が強く骨折に至りにくいため、女性ほど比率が高くならないとの見方も示した(資料P5参照)。
 
橋本会長が理事長を務める橋本病院の通所リハビリテーションセンターが実施した独自調査では、デイケア利用者88人のうち1年間で要介護度が重度化した19人の要因を分析したところ、骨折・転倒が52.6%を占めていたと報告した。発生場所は自宅内、特にベッドサイドが多いとし、「時とともに動線も患者の状態も変わってくるので、もっと細かに頻繁に環境設定をしていかなければならない」と述べ、自宅環境の継続的な見直しの必要性を強調した(資料P6参照)。
 
骨折・転倒は、認知症や脳血管疾患と異なり事故であるとし、「具体的な介入点とアウトカムが設定しやすい」と述べ、要介護状態になる前からの「攻めのリハビリ」が対策として期待できると説明した。攻めのリハビリとして、「転倒させない」「骨折させない」「骨折しても寝たきりにはさせない」の3段階での介入モデルを示した(資料P8参照)。
 
厚生労働省は5月、医療・介護にとどまらずリハビリ専門職の活躍の場を予防・健康増進分野にも拡大する方向性を示し、リハビリテーション統括調整室を設置した。一方で、「理学療法士および作業療法士法」は障害のある者への施術を前提としている中で、橋本会長は厚生労働大臣記者会見資料(5月19日)に『制度的な見直しというものが考えられるかどうか、検討していく必要』と盛り込まれた点について、予防領域での位置づけの明確化に期待を示した(資料P4参照)。
 
提言としては、▽高齢者への「転倒リスク健診」導入:身体機能、生活環境、栄養、服薬、骨粗鬆症を総合的に評価する▽転倒リスク健診の担い手としてPT・OTを位置づける:理学療法士・作業療法士を、要介護前の転倒リスク評価を担う専門職として活用する▽ICT・AIを活用した自宅環境評価の簡便化:自宅写真・動画からリスクを抽出し、高リスク者に重点的な訪問・環境調整を行う▽要介護になる前の予防的リハビリを評価する制度創設:介護保険の前段階で、骨折・転倒を防ぐ支援を提供できる仕組みをつくる-の4点を挙げた。転倒リスク健診では、PT・OTによる身体機能・生活環境評価と、医師による疾患管理の評価を組み合わせ、リスクありと判定された高齢者には短期集中型リハビリや生活環境調整の利用につなげる仕組みを想定しているという(資料P10参照)。
 
島根県の会員病院から、冬場は特に転倒・骨折で救急搬送される高齢者患者が多く、すぐに満床になるため救急が受け入れられない現実があるとの説明があり、「骨折をもう少し予防できれば、高齢者救急のバタバタした感じがなくなるのではないかとの発言があった」と報告し、「転倒・骨折を減らすということは、医療全体においても大事なこと」だとの見解を示した。
(『病院新聞』2026年7月30日)
(資料公表日 2026-07-23/MC plus Daily)
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