日本病院団体協議会は7月24日、代表者会議後に記者会見を開いた。神野正博議長と池端幸彦副議長が、▽中医協関連▽新型コロナウイルス感染症治療薬の診療報酬上の取扱いにあたっての要望書▽地域医療構想策定ガイドライン▽骨太方針2026-についての議論内容を報告した。
このうち、骨太方針2026については、現役世代の保険料率上昇に歯止めをかける方向性が示された一方、27年度の社会保障負担率を25年度と比較して上昇させないよう取り組むとの記載や、医療給付費の対GDP比等を参照するとした注釈について、「非常に警戒するというか、キャップ制じゃないのか」との懸念の声が出席者から相次いだと説明した。
神野議長は、成長戦略としての改革自体は否定しないとしつつ、「社会保障制度も成長分野であるということで、伸ばすものは伸ばしていただきたい」と要望し、再生医療や新薬など伸長が見込まれる分野への配慮を求める一方、給付費抑制の方向性には警戒感を強めている姿勢を示した。
中医協関連では、診療材料の償還価格と実勢価格の逆転、いわゆる「逆ザヤ」の問題を取り上げた。神野議長は、25年の逆ザヤ割合が35%に達したとする中医協資料に触れ、「3品に1つが逆ザヤであるという非常に由々しき問題」と懸念した。再生医療等製品では1人当たり5,000万円を超える薬剤・材料も出てきているとし、償還価格を単純に引き上げれば技術料の財源を圧迫しかねないと指摘。「国家戦略としてそういったものを別途規定するということが必要ではないか」とし、診療報酬の枠組みとは別建ての財源確保に向け、今後働きかけていく考えを示した。
新型コロナウイルス感染症治療薬をめぐっては、5月31日で従来の特例的な取り扱いが終了したことを受け、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟入院料、障害者施設等入院基本料について、7月中に「包括払い病棟における高額な新型コロナウイルス治療薬の出来高算定、包括範囲外への見直し」を求める緊急要望書を厚生労働大臣宛てに提出する。DPC病棟は今回の要望対象に含めていない。
池端副議長は、多疾患を併存する高齢入院患者が感染症にかかると重症化しやすい実態を説明し、「それがクラスター化することによって治療する手段もなかなか厳しい」と述べた。従来通りの取り扱いを続ければ経営への影響も大きいとし、「早めに少しでも改善の方向で持っていきたいという声が強く上がった」と経緯を語った。
7月3日に示された地域医療構想策定ガイドラインについては、大学病院の役割に関する記述が議論の中心になったとした。ガイドラインには、急性期拠点機能を担う医療機関の決定にあたり、病院間協議が調わない場合に大学病院本院を交えて協議を行うことや、大学病院本院が拠点病院への外科医・麻酔科医等の派遣、高齢者救急・地域急性期機能を担う医療機関への内科系医師等の協力について都道府県と調整を行うことが盛り込まれている。
神野議長は、地方では大学病院が1つしかない地域もあり、大学の意向だけで拠点病院が事実上決まってしまう懸念があると説明。「都道府県を交えてきちんと協議した上で、拠点病院に選ばれたところに大学病院が優先的に人を回すということは、仕方がない」との認識を示した。一方で、日常生活圏における診療所等の医療提供体制については「書き様が少ない」との意見が出たとし、今後の議論課題になるとの見方を示した。
質疑では、特定機能病院の要件見直しを踏まえ、大学病院が各医局・教授の判断ではなく大学全体として派遣方針を決めることが盛り込まれた点について、「これまでにはなかった」との意見が会議に出席した大学関係者からもあったことが紹介された。
(『病院新聞』2026年7月30日)
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(資料公表日 2026-07-24/MC plus Daily)