社会保障審議会・介護給付費分科会が23日に開催され、2027年度介護報酬改定に向けた中山間・人口減少地域における配置基準の弾力化について議論した。委員からは、利用者の安全確保やケアの質の確保を求める声が多数上がった。
現行制度の居宅サービスなどでは、厚生労働省令が定める人員・設備・運営基準の一部を満たしていない場合でも、都道府県の条例基準を満たし、市町村が必要と認めれば「基準該当サービス」を実施できる。また、離島や中山間などの地域では、市町村が必要と認めることで「離島等相当サービス」の実施も可能となっている。今回の法改正では、中山間・人口減少地域(特定地域)の実情に応じたサービス提供体制を維持・確保する方策として、特例介護サービスの新たな類型に「特定地域サービス」が創設された(資料P56参照)。
「特定地域サービス」の仕組みは、人材確保が極めて厳しくサービスの維持が既に困難な中山間・人口減少地域に特化した対応であり、サービスの維持・確保を図るための柔軟な配置基準の在り方を検討する必要がある。配置基準の弾力化の対象では、社保審・介護保険部会から▽職員の賃金の改善に向けた取り組み▽ICT機器の活用▽サービス・事業所間での連携-などを前提に、「管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件の緩和などを行うことが考えられる」と案が示された(資料P56参照)。
この日の会合では、現行の管理者・専門職に係る仕組みを勘案しながら、職員の負担・サービスの質の確保に配慮しつつ、サービス事業所間の連携やICT機器の活用等を前提とした管理者・専門職の配置基準の弾力的な対応について意見を求めた。厚労省は、サービスの質の確保の観点から、「外部の目」が入る仕組みの構築など具体的な方向性を提案した(資料P57参照)。
伊藤悦郎委員(健康保険組合連合会常務理事)は、サービスの質の確保、職員の負担軽減の観点から、ICT機器の活用、サービス事業所間での連携を前提条件に要件緩和を検討すべきと主張した。また、中山間・人口減少地域におけるICT機器の導入状況を地域ごとにまとめた資料の提示を厚労省に求めた。その資料を踏まえ、導入が進んでいない地域には、地域医療介護総合確保基金を活用し、地域の実情に配慮しつつ導入が進むよう「国がしっかりサポートし、確実に取り組みを進めてほしい」と要求した。
今井準幸委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は、有資格者の確保が困難な現状を踏まえ、介護報酬の算定要件にも影響するとして「柔軟な配置基準の検討」を要求した。一方で、配置基準を見直す際には、利用者へのサービスの質の確保に十分配慮するよう求めた。ICT機器の活用については、完全な代替手段ではないとして、利用者の安全面やサービスの質の確保を考えると、外部の目を入れ、市町村による確認などが確実に実施できるような制度化を含めた検討が必要と述べた。加えて、制度の簡素化や管理体制の強化を進めつつ、過度の負担を強いることがないよう、バランスが取れた仕組みを講じるよう配慮を求めた。
田母神裕美委員(日本看護協会常任理事)は、「職員の賃金の改善」を明確に位置付けることが重要とし、それを可能とする介護報酬改定率の確保が必要だと訴えた。
平山春樹委員(日本労働組合総連合会生活福祉局局長)は、賃金改善、ICT機器活用、事業所間の連携など、客観的な要件の設定が重要と述べた。ICT機器は実際に活用し、職員の負担軽減に結び付いているかが重要とし、弾力化の前後で時間外労働を含む労働時間が増えていないか、休暇の取得状況が悪化していないかなど、検証の必要があると主張した。配置基準の弾力化は特定地域における例外的な対応で、「人材確保や処遇改善に代わるものではない」と指摘し、職員の負担軽減とサービスの質確保を大前提に慎重に制度設計を進めるべきだと要請した。
(資料公表日 2026-07-23/MC plus Daily)