注目! [医療提供体制] 看護師の偏在に危機感、9月中に提言取りまとめへ 日病

日本病院会 理事会(7/1)《日本病院会》

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日本病院会は1日に理事会を開き、看護職員の確保に向けた課題について議論した。地方を中心に看護師養成校における志願者の減少や定員割れ、養成校の廃止が相次ぐ一方、大都市部の看護大学では入学者が増加しており、医師と同様の偏在構造が看護師にも生じつつあり早急な対応が求められるとの認識が示された。多職種協働の推進や離職防止策の強化に加え、複数医療機関での勤務など働き方の見直しなどが検討課題に挙がった。今後、8月にさらに議論を重ね、9月中に提言を取りまとめ、厚生労働省へ提出する方針を示した。7日に開いた記者会見で議事内容について相澤孝夫会長が報告した。
 
第76回日本病院学会に合わせて開いた理事会では、「地域医療提供体制の維持に向けた病院施設整備と看護職員等の確保」を議題としたが、議論の大半は看護職員確保に集中したと説明した。
 
地方では看護師養成校の志願者減少や定員割れ、養成校の廃止が相次ぐ一方、大都市の看護大学では入学者が増え、大学数自体も増加している。こうした医師偏在問題に近い状況となっていることに対し、「対応を考えなければならない」と懸念を示した。
 
理事会では、看護師の離職防止や潜在看護師の復職・定着を進めるため、働きやすい環境整備や多様な勤務形態、適切な評価制度、キャリア形成支援などが必要であり、一定の取り組みも進められてはいるが、現状の看護師不足を大きく改善するには至っていないとの指摘が挙がった。これらの取り組みの継続に加え、「複数の医療機関で看護師が働くということも今後は検討していく必要性がある」との意見があったと説明した。
 
養成校については、地域への看護師供給や定着に大きな役割を果たしているとして、ICTを使った遠隔教育やサテライト校の設置、経営支援の必要性が指摘された。養成校は厚労省、看護大学は文部科学省の管轄で条件に差があり、是正を求める意見や、「国の施策として看護師を養成していく、日本全体でトータルの方向性、考え方があってもいい」との意見なども出たと報告した。
 
また、看護大学・養成校を卒業しても一人前の看護師として働けるまでに1年以上かかる現状も課題に挙がった。座学の内容が膨大で実習に十分な時間を割けていないためとみられ、「現場で働ける看護師の養成というものについて考えていく必要性がある」との見解を示し、実習の充実や卒業後の養成の在り方を検討する必要があるとした。需要推計についても、受験倍率や定員充足率だけでなく、国家試験合格率や地域定着率など地域の実情を踏まえたデータ把握が必要との意見が出た。
 
今後については、厚労省の「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」の議論を踏まえつつ、8月にさらに協議し、9月中に提言をまとめて同省へ提出する考えを示した。
 
質疑応答では、記者から厚労省検討会での議論の温度差について質問が出た。学校での教育充実を重視する意見と、就職後の研修を重視する意見の違いを踏まえた見解を問われ、相澤会長は個人的な考えとして、「学生4年間の中で十分な臨床実習をするのはかなりきついのではないか。医師の臨床研修のようなものを取り入れながら偏在対策を進めていくということもしていかないと」と述べた。
 
提言内容に複数病院勤務を盛り込むかとの記者からの質問には、看護師の「養成」と「働き方改革」の「どちらに焦点を絞るかというと、今大きく問題になっているのは、地方での看護師不足という偏在」との認識を示した。
 
養成校の強化だけでは若い世代の大都市への大学志向を止めるのは難しいとし、「その後どうするかということを考えていく方が良いのではないか」と述べ、卒業後の対策に軸足を置く考えを示した。ただし、理事会ではまだこの点は議論されていないと説明。医師偏在と「同じような構造が今、看護にも起こっているのではないのか」と重ねて危機感を示した。薬剤師にも同様の課題が指摘されているとし、医療専門職全体の課題として捉える必要があるとの認識を示した。
(『病院新聞』2026年7月16日)
 
※この記事に資料はありません。
(資料公表日 2026-07-01/MC plus Daily)
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