厚生労働省は13日、「2026年度医師の働き方改革の推進等に関する検討会」の初会合を開催した。座長には小塩隆士氏(一橋大学社会科学高等研究院特任教授)が就任した。医師の働き方改革は2024年4月より施行され、施行後2年が経過した。厚労省は、医療機関における勤務実態、都道府県の取り組みなどの状況を確認した上で、課題の整理、長時間労働の是正や業務効率化といった更なる働き方改革の推進に向けた検討を実施する方針を示した。
厚労省は今後の検討の進め方として、▽医療機関の医師の労働時間短縮の取り組み等の状況(医療機関の労働時間の実態、適切な労務管理等、都道府県による医療機関への支援等、医療機関勤務環境評価センターや国の取り組み)▽C水準の状況▽医師の働き方改革を取り巻く施策の状況-などを切り口に医師の働き方改革の進捗状況を網羅的に確認する。その上で、構成員と現場の専門的な知見を踏まえて課題を整理し、対応方針を検討するとしている(資料1-P7参照)。
厚労省はこの日の会合で、労働時間の実態、施行後の影響、意識調査などに関する報告を行った。労働時間については、25年10月6日-12日に調査が実施され、5,523施設、医師2万3,089人から回収。常勤勤務医の1週間の労働時間、診療科別の時間外・休日労働時間の調査結果を公表した(資料1-P10参照)。
調査結果によると、週労働時間が60時間以上(時間外・休日労働:年960時間換算)の病院・常勤勤務医の割合は15.0%で、16年の39.2%と比べ減少した。週労働時間が60時間以上の病院・常勤勤務医の割合は、ほとんどの診療科で減少したが、外科(25.1%)、救急科(23.7%)、産婦人科(22.8%)では60時間以上の割合が高いことが分かった(資料1-P13参照)(資料1-P14参照)。
勤務先別では、大学病院に勤務する医師の方がそれ以外と比べて労働時間が長い傾向を示した。労働時間等に係る水準別では、連携B水準、C-2水準の医師の労働時間は長い傾向があり、C-1水準の臨床研修医はA水準適用医師よりわずかに労働時間が長い傾向があるものの、他の特例水準と比べ労働時間は短いと報告した(資料1-P17参照)(資料1-P18参照)(資料2-P127参照)。
地域医療への影響に関する調査は24年度、25年度と実施され、25年度の調査は26年1月5日から2月6日に実施。1,516病院から有効回答を得た。医療提供体制の縮小・撤退があったのは168件(11.1%)、うち35件(2.3%)が地域の医療提供体制に影響があると回答した。厚労省は調査結果について「いずれも大きな影響はみられなかった」と説明した(資料1-P20参照)。
厚労省は医療機関における勤務時間短縮について▽改革推進を図るための課題や対応▽地域医療確保暫定特例水準(B・連携B水準)および集中的技能向上水準(C水準)の適切な運用など、今後の都道府県による支援に関する課題や対応▽医療機関勤務環境評価センターにおける活動状況、診療報酬上の対応などの状況を踏まえた今後の国の対応-などを論点に挙げた。加えて▽24年4月以降の医師の働き方改革の現状▽C水準の課題▽医療機関における業務効率化・勤務環境改善の推進-についても論点とし、意見を求めた(資料2-P132参照)。
小塩座長は初会合である点を踏まえ、構成員からの自由な意見を求めた。
岡俊明構成員(日本病院会副会長)は、厚労省の調査結果を踏まえ、医師の働き方改革施行から2年の取り組みは「各医療機関が意識改革をしつつ、真摯に取り組んできた成果」と高く評価した。一方、今回調査で適用水準に「その他・無回答」だった医師の割合が36.1%を占めたことなどに触れ「制度の理解が医師全体に広がっていない」と指摘。国から各医療機関に自院の医師への周知を促す措置を講じるよう求めた(資料1-P12参照)。
馬場武彦構成員(日本医療法人協会会長代行)は、医師の働き方改革について順調に進展していると評価した。一方で、病院の厳しい経営状況が、勤務医に過度の負担を与える可能性について懸念を示し「注視する必要がある」と主張した。
城守国斗構成員(日本医師会副会長)は、働き方改革は進んでいるものの、「一定程度、長時間労働を余儀なくされている医師が存在する」との認識を示した。改革が進んでいない「医療機関、地域にフォーカスを当て、支援することが重要になる」と指摘した。
(資料公表日 2026-07-13/MC plus Daily)