厚生労働省は6月26日、健康・医療・介護情報利活用検討会・医療等情報利活用ワーキンググループを開き、電子カルテ情報共有サービスを巡る検討事項として、▽技術解説書(検証用)▽健診種別の設定▽宛先医療機関が定まらない場合の診療情報提供書の対応-について議論し、事務局の提案を概ね了承した(資料P3参照)。この日の会合では、同対応方針を踏まえた技術解説書(検証用)に係る更新箇所を提示するとともに、2026年度冬頃の全国運用に向けた課題についての対応案を提示し、意見交換した(資料P2参照)。
事務局は、技術解説書を医療機関システムベンダ向け技術解説書として改訂を行い、検証用で6月30日に公開した。また同解説書は26年10月頃から予定しているモデル事業での検証のためのもので、検証結果を踏まえて更なる見直しをした後に、全ての医療機関等を対象とした技術解説書(運用開始用)を公開予定との見通しを示した(資料P5参照)。
その上で、▽診療情報提供書における同意区分▽健診文書登録にあたっての患者同意▽傷病名の登録範囲▽感染症の登録タイミング▽アレルギー情報の登録範囲-などを更新するとし、内容を説明した(資料P5参照)。
また電子カルテ情報共有サービスでは、健診実施医療機関で作成した健診結果報告書を同サービスで定義した6つの健診種別に設定した上で登録してもらうこととしている。一方で、モデル医療機関へのヒアリング等により、健診実施医療機関での健診種別の設定が明確に判断できない場合があることが明らかになった。そのため、健診結果報告書の医療保険者等への提供の同意取得が必要となる「保険者以外が実施する特定健診等に相当する健診」を、同意不要のその他の5つの健診種別に設定して登録する可能性が高いと報告した(資料P7参照)。
これらの課題を踏まえ、26年度冬頃の全国的な運用開始にあたっては、(1)全ての健診について、健診実施医療機関で電子カルテ情報共有サービス(支払基金)から医療保険者等へ健診情報を提供することに係る同意を取得した上で、(2)健診実施医療機関において、健診受診者の健診種別が明確にわかる場合には、各健診種別を設定し、健診結果報告書を同サービスに登録。健診種別が明確にわからない場合には、「保険者以外が行う特定健診等に相当する健診」に設定した上で登録してもらう-の方法で、健診実施医療機関から電子カルテ情報共有サービスに登録してもらうこととしてはどうかと提案した(資料P8参照)。
診療情報提供書を巡っては、転居等で、紹介先の医療機関が変更となる可能性があるなど、宛先の医療機関が定まらない状態のため、宛先を空欄で発行する場合が存在し、このような場合のために、診療情報提供書の閲覧保留の仕組みを構築していた(資料P11参照)。
その一方、モデル事業での検証では、医療機関で閲覧保留の状態について患者へ説明することや、患者の操作について説明することなどが負担となり、運用が難しいことがわかった(資料P11参照)。
事務局はこれを受けての対応案として、複雑な仕組みであるため、26年度冬頃(以降)の全国的な運用開始の段階では、診療情報提供書の閲覧保留の仕組みは使用せず、診療情報提供書を宛先なしにして交付する必要がある場合は、同サービスではなく紙の診療情報提供書を使用することとしてはどうかと提案した(資料P11参照)。
一方、宛先が定まらない状態での診療情報提供書発行のユースケースが存在するとの意見があることを鑑み、宛先を指定しない状態での診療情報提供書の送付の在り方について、改めて検討することとしてはどうかとし、意見を求めた(資料P11参照)。
事務局の説明に長島公之構成員(日本医師会常任理事)は「まずは現状を踏まえてできるだけ混乱が起こらないような仕組みで開始し、実際に開始した上で様々な課題をしっかりと整理しながら進めていくということで、現実的な対応」と評価。「医療現場に余計な負担と混乱を起こさないということは最も重要。そのような観点でしっかりと進めていただきたい」と要望した。
(資料公表日 2026-06-26/MC plus Daily)