健康保険法等の改正により、市販薬と代替性の高い医療用医薬品「OTC類似薬」について、薬剤費の4分の1を保険給付の対象外とする「一部保険外療養」が設けられる。厚生労働省は技術的検討会を設置し、効能・効果が一致するかどうかの判断や、別途の負担を求めない患者・療養の範囲についての考え方を示している。
■まずは77成分・1,100品目、鼻炎や便秘、痛み止めなど
一部保険外療養は、市販薬で対応できる症状でも医療機関で薬の給付を受ける患者と、市販薬を自費で購入する患者との公平性を確保することや、現役世代を中心とした保険料負担の上昇を抑えることを目的としている。対象はまず、市販薬(要指導医薬品または一般用医薬品)と成分・投与経路が同じで最大用量も変わらない77成分(約1,100品目)。鼻炎、胃痛・胸やけ、便秘、解熱・痛み止め、風邪症状全般など、市販薬で対処しやすい症状の薬が中心となる。特別の料金は薬剤費の4分の1で、いずれも告示で定め、2027年3月の施行を想定している。
この制度は市販薬の購入を促すものではなく、必要な受診をしたうえで処方された薬が、結果として市販薬と成分・投与経路・最大用量まで一致する場合に別途の負担を求めるものだ。厚労省の「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」は、この考え方を成分ごとに具体化するための技術的な整理を担っている。
別途の負担が生じるかどうかは、まず処方された薬の効能・効果が市販薬と一致するかどうかで決まる。医療用医薬品は「医師の診断・治療による疾患名」で、市販薬は「一般の人が自ら判断できる症状」で記載されるなど、同じ成分でも表現が異なる。
そこで両者の関係を、▽疾患名が対応する場合(例=デキサメタゾンの「湿疹・皮膚炎群」と「湿疹・皮ふ炎」)▽症状等として対応する場合(例=カルボシステインの「上気道炎」などと「たん」)▽一致しない場合(例=エピナスチンの「気管支喘息」と「鼻のアレルギー症状」)―の3つに分類した。一致する場合は別途の負担の対象とし、一致しない場合は求めない方向だ(図表1)。
■入院・処置・長期使用も別途負担の対象外に
もう一つの判断の分かれ目は、患者の状況だ。効能・効果が一致していても、次の患者・療養は対象外とする案が示されている。▽がん治療中で治療に関連して対象薬が使われる場合▽指定難病患者(医療費助成の有無を問わない)▽国の公費負担医療を受ける慢性疾患患者▽入院中(退院時を含む)の処方▽外来の検査・処置・手術に伴う処方▽医師が「通年処方」など長期使用を医療上必要と認める場合―が当てはまる。市販薬の添付文書で「服用しないこと」とされている妊婦などへの対応も論点となっている。
検討会は今後、成分別・ケース別の検討を進めて中間整理をまとめ、8月以降に社会保障審議会・医療保険部会などに報告する。国会の附帯決議は、配慮が必要な人への措置を将来にわたって維持し、患者に過度な負担が生じないよう求めており、丁寧な検討が求められている。




