Q. 義務化された「熱中症対策」で、あらためて確認すべきポイントは?
「熱中症対策の義務化」が始まって1年が経ちました。改めて見直しておくべき点はありますか。
A. 令和7年6月から、一定の高温環境で行う作業について、熱中症対策が事業者の義務となりました。制度が始まって1年が経った今、マニュアルや連絡体制が形だけになっていないか、運用の状況を改めて確認しておきましょう。
■職場での熱中症対策の義務
令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則(第612条の2)が施行されました。熱中症のおそれがある労働者を早く見つけ、状況に応じて迅速かつ適切に対応することで重症化を防ぐため、「報告体制の整備」「重篤化を防ぐ手順作成」「関係作業者への周知」の3つの対応が事業者に義務付けられています。対象となるのは、「WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業です。
■職場で熱中症が起こる原因と、起こりやすい職場の条件
①蒸し暑い環境
高温多湿で風のない屋外での作業、空調設備のない屋内での作業など
②身体への負荷が大きい作業
全身の筋力を使う作業、長時間続く作業など
③体調が悪いこと
二日酔い、寝不足など
■熱中症の重症度の判定
熱中症の重症度は、2026年3月に公表されたガイドラインで、これまでのⅠ度~Ⅲ度にⅣ度が加わり、4段階に分けられることになりました。Ⅰ度はめまいや立ちくらみなどの軽症、Ⅱ度は頭痛や吐き気、だるさなどの中等症、Ⅲ度は意識障害やけいれんなどの重症です。
さらに、意思疎通ができない状態や、深部体温が40℃以上の場合はⅣ度に分類されます。
Ⅰ度は現場での応急処置で回復が見込めますが、症状が良くならない場合やⅡ度以上の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診させるか、医療機関へ搬送しなければなりません。
■熱中症対策としての「暑熱順化」
暑熱順化とは、身体を少しずつ暑さに慣らして、熱中症になりにくい状態をつくることです。
ウォーキングや軽い運動、入浴などで汗をかく習慣を7日から2週間ほど続けると効果が期待できます。暑熱順化が進むと汗をかきやすくなり、体温調節もうまく働くため、体に熱がこもりにくくなります。
とくに梅雨明け直後や長期休暇の明けは熱中症のリスクが高まるため、作業時間や負荷を段階的に増やしながら、計画的に暑さに慣れていくことが大切です。
熱中症による労働災害は、建設業・製造業・運送業を中心に多く起きています。
事業者には、熱中症のおそれがある労働者を早く見つけ、すばやく対応できる体制を整えることが求められます。
(2026年7月編集/社会保険労務士法人日本経営)




