日本薬剤師会の岩月進会長は先ごろの定例記者会見で、いわゆる調剤ポイントをめぐって厚生労働省保険局医療課が出した療養担当規則に関する事務連絡に言及した。1%を超えるポイントの付与や、ドラッグストアなどが独自ポイントを重ねて付与するケースなどについて厚労省が改めて通知したことを受け、「ポイントの付与は事実上の値引き」と言い切った。そのうえで「健康保険法の枠組みを歪める可能性があるのなら、そのなかで仕事をして収益を得ているのであれば適正に実施されるべきというのは当たり前の話」と厳しく指摘した。
保険局医療課は事務連絡で、調剤ポイントは「原則禁止」との考えを示し、1%を超えるポイント付与については地方厚生局が「口頭による指導」を行い、改善がみられない場合は「必要に応じて個別指導」する方針を改めて明らかにした。最近は、クレジットカードなどへのポイント付与に加えて独自ポイントを重ねて付与する事例も「散見される」と指摘し、調剤の一部負担金の1%を超える場合は指導の対象になると警告している。
さらに、薬局から「登録料」を取って処方箋受付サイトを運営する外部事業者が、利用した患者にアンケートの回答やサイトの利用そのものへの「謝礼」として金銭を払い戻したり、それに準じるポイントを付与したりしていることも問題視した。こうした患者誘導やキャッシュバックは「その名目如何にかかわらず、当該サイトを通じた経済上の利益の提供に実質的に該当する」と明言し、サイトを利用する薬局は指導の対象になるとしている。
岩月会長は、このタイミングで改めて通知が出たことの意味について、調剤ポイントを実施しているDgS企業などが「どう受け止めるか」が問われていると指摘。利益誘導によって患者の選択権を狭めているのであれば「保険の仕組みから著しく違う状態を招いている」と述べ、該当する事業者に対して「真摯に受け止めていただきたい」と警鐘を鳴らした。
■マンジャロ問題では疑義照会の徹底を強調
この日の会見では、社会問題となっている糖尿病治療薬「マンジャロ」(チルゼパチド注射液)のダイエット目的での不適正使用についても取り上げられた。厚生労働省医薬局医薬安全対策課の6月16日付通達を受け、日薬が会員に薬剤師としての対応を求めたことが報告された。岩月会長は「あくまで受け取った処方箋に疑義がないかの観点で業務を引き続きやっていただく」と述べ、日常業務の延長線上にある取り組みであることを強調しつつ、薬剤師の存在意義を訴えた。
GLP―1受容体作動薬のマンジャロについて厚労省は、効能・効果に沿った使用でも「重大な副作用」として低血糖症状や急性膵炎が起こる可能性があり、「比較的頻度の高い副作用」として悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの消化器症状がみられると指摘している。
そのうえで、適応外の使用は「思わぬ有害事象による健康被害につながる恐れがある」と警告し、副作用が出た場合に「直ちに適切な処置ができる」体制を整えるよう求めている。薬局・薬剤師には「真に必要とする患者への供給が滞ることのないよう」適正使用を要請するとともに、「保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために必要」と判断した場合は、薬機法に基づく「副作用報告」を行うよう求めている。
この問題について岩月会長は疑義照会の重要性を訴えた。「疑義を感じるかどうかは薬剤師の経験、知識にも多分によるところがある」としつつ、厚労省の通知は改めて「疑義照会の精度を上げて欲しいという意味」だと解説。痩身目的ではないか、糖尿病の患者なのかといった点に「想像力を働かせて」、適正使用につなげるよう呼びかけた。



