厚生労働省の「令和8年度医師の働き方改革の推進等に関する検討会」は7月13日、初会合を開いた。医師の働き方改革関連制度が2027年度に施行後3年の見直し時期を迎えることから、医療機関における勤務実態や都道府県の取り組み状況などを確認し、課題を整理した上で、さらなる取り組みの推進に向けた検討を行う。
この日は厚労省が提示した現状分析データなどをもとにフリーディスカッションを行った。それによると、週労働時間が60時間以上(年960時間の時間外・休日労働に相当)の病院・常勤勤務医の割合は制度施行前の39.2%から施行後は15.0%に低下。診療科別、年代別、勤務先別の分析でも同様の傾向がみられた。地域医療への影響に関する調査では、一部で診療体制の縮小が生じていたものの、大半の地域は大きな影響がなかったことが推察された。
これらの結果から、構成員の多くが医師の働き方改革に関する取り組みが一定の成果を上げていると評価。その一方で、▽診療科別では外科、救急科、産婦人科、勤務先別では大学病院勤務医がそれ以外と比べて労働時間が長い▽医師の負担軽減策としてタスク・シフト/シェアの推進が求められるが、生産年齢人口の減少により看護職員をはじめとする多職種の確保も医師同様、困難になることが見込まれる▽都道府県の支援体制や取り組み状況にばらつきがある▽大学病院や労働時間が長い勤務先に所属する専攻医等では労働と自己研鑽の区分に不満がある割合が高い▽C―2水準(高度技能等の習得のために集中的な修練が必要な医師が対象)の適用医師・医療機関が少ないーといった課題も浮き彫りになった。
従事者減少下でのタスク・シフトは限界、ICT・AIによる業務効率化推進を
岡俊明構成員(日本病院会副会長)は、医療従事者が減少する中でのタスク・シフトの推進には限界があるとし、「今後はICTやAIを活用した業務の効率化や労務環境改善などを積極的に進めるべきだ」と指摘。長野裕幸構成員(保健医療福祉労働組合協議会副会長)も「病院における業務全体の見直しとICTの活用を含む業務効率化、多職種によるチーム医療の推進にセットで取り組むことが非常に重要ではないか」との見解を示した。
労働と自己研鑽の区分では森正樹構成員(東海大学学長補佐)が、現在は判断基準が医療機関によって大きく異なることから、「是非、全国的な意見統一、方向性を同じくするような努力をしていただきたい」と述べた。菅村裕子構成員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は宿日直許可の運用も含め、「都道府県による定期的なモニタリングを通じて改善を図る仕組みを整備すべきではないか」と提案した。
C―2水準は認知度向上と申請に伴う負担の軽減が課題
C―2水準は各種調査結果から、▽制度が広く認知されていないために、本来はC―2水準に該当する技能の修練に連携BまたはB水準が適用されているケースがある▽申請手続の煩雑さーが申請数の少ない原因と考えられた。このため複数の構成員から学会をはじめとする関係者への制度の周知や、申請時の負担軽減を求める意見が示された。