社会保障審議会・介護給付費分科会は7月9日、2027年度介護報酬改定における介護保険施設サービスの評価見直しなどについて議論した。委員からは基本報酬の大幅引き上げを求める意見や、27年3月末で経過措置が終了する協力医療機関確保の義務化について、経過措置延長も含めた対応を求める意見などが示された。
介護保険施設の24年度決算における平均収支差率は、介護老人福祉施設(特養)1.4%、介護老人保健施設(老健)0.6%、介護医療院3.5%―と、いずれも全サービス平均の4.7%よりも低い水準にある(全て税引き前、物価高騰対策関連補助金を含まない数字)。
また、24年度改定時に義務化された、入所者の急変時の診療体制の確保など3要件を満たす協力医療機関との連携体制構築については27年3月末に経過措置が終了するが、未だ協力先を定めていない施設がどの施設類型においても一定割合存在する。
こうした現状を踏まえ、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、「26年度診療報酬改定と同様に賃上げと物価対応は別建てで1年ごとに上乗せしていく必要がある。何よりも重要なのが介護保険施設の基本報酬の異次元の増額が不可欠だということだ」と主張。協力医療機関との連携体制確保についても、「早急に個別の実態を把握し、少なくとも年内には経過措置を延期するかどうかを決定すべきだ」と述べた。介護保険施設関係団体の委員からも同様の要望が相次いだ。
個別サービスでは厚生労働省が、▽特養/中重度の高齢者への対応、特別な基本報酬を設定しているサービス類型(経過的小規模特養)の取り扱い▽老健/医療・介護の複合ニーズ等を抱える高齢者への対応、看取り・リハビリテーションの充実、適切な薬剤調整の推進▽介護医療院/医療・介護の複合ニーズ等を抱える高齢者への対応、医療ニーズ・看取りへの対応、医療と介護の切れ目ない連携を行う観点から必要な医療と介護を提供するための方策―などを論点として提示した。
経過的小規模特養の報酬、複数委員が通常基本報酬への統合を主張
このうち経過的小規模特養(05年以前開設の定員30名の施設)は通常の特養等よりも高い介護報酬が設定され、24年度の介護報酬改定に関する審議報告では、離島・過疎地に所在する小規模特養の経営の安定性・持続性に配慮しつつ、通常の特養等の基本報酬との統合に向けた検討を進める方向性が打ち出された。
この点については「過疎地域等における事業継続に資する介護報酬単価として恒久的な小規模施設サービスの創設を提案する」(小泉立志委員・全国老人福祉施設協議会副会長)、「地域特性や経営実態をよく見た上で、可能であれば通常の基本報酬に統合していく方向で検討すべきだ」(伊藤悦郎委員・健康保険組合連合会常務理事)といった意見があった。