注目! [医療改革] 建設費高騰と人材不足で提言へ、9月取りまとめ目指す 日病

日本病院会 記者会見(6/23)《日本病院会》

ブックマーク
日本病院会は6月19日に常任理事会を開き、病院の建設費や設備更新費の高騰に加え、人件費上昇や医療従事者不足によって、多くの医療機関が厳しい経営環境に置かれている現状を共有した。これらの課題について9月を目途に提言書を取りまとめる方針を固めた。また、6月4日に上野賢一郎・厚生労働相へ提出した「連立政権合意書の社会保障政策に対する要望について」の内容も報告した(資料P1参照)。6月23日の記者会見で相澤孝夫会長が議事内容を説明した。
 
病院建設を巡っては、資材価格や建設コストの上昇により、老朽化した施設の建て替えや増改築が進まない状況が深刻化している。診療報酬による利益だけで建設資金を確保することは難しいとして、理事会ではこのような実情を「厚生労働省や財務省、国民に理解してもらうための行動が必要だ」との意見が出された。また、既存施設を活用するリノベーションやローリング方式による整備など、現実的な整備手法の検討と支援拡充を求める必要性についても議論した。
 
人材確保では、看護師不足が大きな課題として浮上した。大学進学者が増える一方で看護専門学校の志望者は減少し、定員割れや閉校が相次いでいる。「地方の看護師養成学校の卒業生は地元に就職することが多く、卒業生が地域の看護師不足を一定数カバーしているため極めて重要だ」と指摘し、地域の養成機関を維持するための方策を検討する必要性を強調した。
 
これらの課題については7月、8月の理事会で議論を深め、提言として取りまとめる方針を確認した。建設費高騰対策と看護職員を中心とした人材確保策を提言の柱とし、「病院にとって非常に危機的で、解決してほしい問題だ」と述べ、「9月にはぜひ提言をまとめたい」との考えを示した。
 
相澤会長は、「病院の建て替えも人材確保も、地域医療を守るための国家的戦略の一つだ」と述べ、関係方面への提言につなげる考えを示した。
 
日本病院会など医療関係8団体は6月4日、上野厚労相宛に「連立政権合意書の社会保障政策に対する要望について」を連名で提出した(資料P1参照)。要望書は、森光敬子・医政局長に手交した。要望書では、保険財政健全化推進と医療機関における消費税の在り方の2点を柱として提言した。
 
保険財政健全化推進については、「さまざまな医療改革の一丁目一番地ではないか」と強調。要望の際には、地域医療を支える中小規模病院について、経営環境の悪化や病院の老朽化による建て替えなどが困難になっている現状を説明した上で、「地域の中核的医療を担う病院を厚労省はどう考えているのかといった点を尋ねた」と報告した。
 
これに対し厚労省からは、「今後の地域医療を支えていく極めて重要な病院になる」との認識が示されたと説明した。
 
一方で、同会では中小病院が経営難や施設の老朽化への対応に苦慮しており、地域の中小病院は「あまり大切にされていない」「病院が非常に困難な状況に陥っている」との認識が共有されている。こうしたことから、「地域医療の中核機能を担う病院をしっかりと位置づけし支援してほしいことをお願いしてきた」と説明した。
 
また、消費税問題については、保険診療が非課税であるため控除対象外消費税の負担が病院経営を圧迫していると指摘。現行の診療報酬による補填には限界があり、「継続は困難な状況にあり、思い切った改善が必要」として、社会保険診療の課税(原則ゼロ税率)など抜本改革を求めるとともに、制度改正までの間は補助金などによる経営支援の必要性を考慮するよう求めたと報告した。
(『病院新聞』2026年7月2日)
(資料公表日 2026-06-23/MC plus Daily)
ブックマーク

資料はこちらから

ダウンロード

関連資料

記事一覧に戻る