厚生労働省は、リフィル処方箋の普及に向けたKPI(重要業績評価指標)を設定した。2030年度までに患者の認知度を50%以上とする目標を掲げる。直近の認知度は35.0%、医師の発行経験は80.9%と目標を下回り、周知広報の強化で利用拡大を図る。
■リフィル処方か28日以上の長期処方を促進
リフィル処方箋は、症状が安定した患者について、医師が定めた一定期間内に最大3回まで繰り返し使える処方箋で、22年度に導入された。通院の負担軽減や医療費の抑制につながる利点がある。
今回のKPIは2つの指標で構成する。一つは患者の認知度で、制度の内容まで知っていた人と名称だけ知っていた人を合わせ、「30年度までに50%以上」とする。もう一つは医師の発行経験で、「30年度までに95%以上の医師」がリフィル処方箋または28日以上の長期処方を発行した経験を持つ状態を目指す。後者では、軟膏や点眼剤などの外用薬を専ら扱う皮膚科・眼科や、手術などを担う外科・麻酔科などに従事する医師を計算から除く。
■医師の制度認知97.0%も発行経験は29%
デジタル庁のダッシュボードによると、25年3月末時点の患者の認知度は35.0%で、制度の内容まで知っていた人が14.6%、名称だけ知っていた人が20.4%だった。医師の発行経験は80.9%で、いずれも目標に届いていない(図表1)。
もっとも、医師は97.0%が制度を知っているものの、リフィル処方箋を発行した経験のある医師は29%にとどまる。発行経験が80.9%に達するのは、61%が経験する長期処方を合算したためである。
患者側の遅れも、関心の低さによるものではない。症状が安定していればリフィル処方箋を利用したいとする患者は71.9%に上る一方、医師から説明を受けたことがある患者は3.0%、交付された経験を持つ患者は11.0%にとどまり、認知や利用の機会が乏しい。
今回のKPIは、デジタル行財政改革の取りまとめで早急な設定と公表が求められたことを受けたもの。厚労省は、患者がリフィル処方箋という選択肢を認知し、医師に相談できる環境を整えることが重要とみている。
医師の指標に長期処方を含めたのは、調査で「長期処方への対応」が必要と答えた患者が45.3%と、「リフィル処方箋への対応」の12.3%を上回り、長期処方の方が医療費の負担を軽くする効果も大きいため。厚労省は当面この2指標で進捗を管理し、26年中をめどに発行割合の追加を含めKPIを見直す。
(MICTコンサルティング株式会社 大西 大輔)