厚生労働省は2026年度診療報酬改定の疑義解釈(その4~9)を相次いで示している。電子的診療情報連携体制整備加算では電子処方箋やネットワークの要件が、ベースアップ評価料では算定や届出の取り扱いなどが、それぞれ具体化された。そのポイントを整理する。
■電子的情報連携では?
●電子処方箋は院内・院外で異なる対応要件
「電子的診療情報連携体制整備加算」では、初診料の加算1・2について、電子処方箋への対応要件が処方形態によって異なる点が示された。院外処方を行う場合は、原則として電子処方箋を発行するか、引換番号が印字された紙の処方箋を発行したうえで処方情報を登録することが求められる。これに対し院内処方では、医療機関内で調剤した薬剤の情報を「電子処方箋管理サービス」に登録することが要件となる。
発行体制については当面の間、常勤医師2名以上(常勤医師が1名のみの場合は1名以上)が電子処方箋を発行できればよく、発行できない医師は引換番号付きの紙処方箋で対応する。
電子カルテ対応要件のうち、「厚生労働省が認証する電子カルテ製品」については、現時点で制度整備を待つ状態にある。厚労省は標準仕様に準拠した電子カルテ製品の認証制度を検討しており、医政局での議論がまとまり次第、詳細を示すとしている。導入を予定するシステムが将来も要件を満たせるか、ベンダーとの連携が欠かせない。
●チャットの共有では不可年1回以上のWEB更新も
電子カルテ情報共有の要件では、「地域の複数の医療機関間で検査結果や画像情報等を含む診療情報を共有又は閲覧できるネットワーク」が明確化された。単に医療関係職種等がチャットやメーリングリストにより日々の報告や上記の一部の情報を共有するためのネットワークでは要件を満たさない。要件を満たすには、診療情報提供料(Ⅰ)の「検査・画像情報提供加算」または「電子的診療情報評価料」の施設基準を満たすネットワークであって、診療情報を提供する保険医療機関が電子カルテ情報を共有し、参加している保険医療機関が随時閲覧できるものであることが必要になる。
ネットワークは実際に活用する体制も求められる。受診する患者のいずれかについて、少なくともおおむね2カ月に1回以上は診療情報の閲覧か共有を行う必要がある。ただし、ネットワークに加入した月からその3カ月後までは、この限りでない。
ネットワークの運営主体が連携する医療機関名と登録患者数をウェブサイトで公表することも具体化された。ウェブサイトは少なくとも年1回以上更新されていなければならず、1年以上更新がない場合は速やかな更新が必要となる。また、登録患者数および年間新規登録患者数はウェブサイトに公表されている数値(届出の1年以内での数値)を「届出様式1の6」に記載する。
■ベア評価料では?
●賃上げ実績を示せば新規算定も高い点数
「ベースアップ評価料」(ベア評価料)のうち、外来・在宅ベア評価料は、26年3月以前から算定している医療機関であれば、6月以降は高い点数を算定できる。26年3月まで算定がなく、新規に開始する場合でも、 24~26年度の賃上げ実績(計5.5%、事務職員は8%相当)を示せれば高い点数の算定が可能となる。一方、入院の評価では、6月からの入院料には24年度改定の入院ベア評価料の相当分が組み込まれているため、26年3月までに評価料を算定していなかった病院では入院料の一部が減算される。既算定の病院でも減算の免除には施設基準の届出が必要で、未算定の場合は上記水準の賃上げ実績があれば届出で減算が免除される。詳細は厚労省の「届出に必要な様式 早見表」で確認できる(図表1)。
このベア評価料では、対象となる「職員の範囲」があらためて示され、事務職員とは、主として事務を担当する者で、「医師事務作業補助者(医療クラーク)」や「診療情報管理士」も 含まれることが明らかになっている。 また、保険医療機関の職員であっても、その開設者・管理者や法人の代表者・役員は対象とならない。
社会保険診療等による収入要件について、「健康増進事業」の範囲も整理された。これは各種法令に基づく公的な健康診査を指し、▽健康保険法や国民健康保険法に基づき保険者が行う健康診査▽労働安全衛生法に基づき事業者が行う健康診断▽学校保健安全法に基づく健康診断▽母子保健法に基づき市町村が行う健康診査▽高齢者医療確保法に基づく特定健康診査―などが該当する。
●算定と賃金改善は原則として期間の一致を
毎年8月に提出する「賃金改善中間報告書」では、報告対象となる実績月に注意を要する。例えば26年6月からベア評価料を算定する場合、同年6・7月分の賃上げ実績を報告する。仮に4月から先行して賃上げを実施していたとしても、報告対象は4・5月分ではなく6・7月分となる。
評価料の算定期間と賃金改善の実施期間は、原則として一致させる必要がある。また、評価料で得た収入は、一時金ではなく毎月決まって支払う給与(基本給等の一部)であれば、26年4月以降に新設した手当に充てることも認められる。
複数の医療機関を運営する法人では、施設基準の届出などに制約がある。法人内やグループ内で給与体系を統一し通算して区分計算を行っていても、届出書を法人本部でまとめて一括提出することは認められない。各保険医療機関より、所在する地域を管轄する地方厚生(支)局へ個別に届け出る必要がある。「賃金改善実績報告書」、「賃金改善中間報告書」も同様の扱いとなる。