Q. 心療内科を併設する小規模内科診療所の「精神科救急医療体制整備事業」への参画について教えてください?
令和8年度診療報酬改定において「通院・在宅精神療法」の施設基準が厳格化されましたが、施設基準によると病院でないと対応不可能な取り組みが多く、一般内科・心療内科の連携が密であっても、小規模診療所ができることは余りない印象があります。国が進める「精神科救急医療体制整備事業」で小規模診療所でも参加可能な事業があれば教えてください。
[一般内科診療所 医療法人理事長/院長(57歳)]
A. 令和4年3月30日に厚生労働省社会・援護局より全国都道府県知事等に発出された一部改正「精神科救急医療体制整備事業」(以下、同事業)実施要綱によると、緊急な医療を必要とする全ての精神障害者等が、迅速かつ適正な医療を受けられるように「都道府県又は指定都市が精神科救急医療体制を確保する」ことを目的としたと規定されています。
同事業は(1)精神科救急医療体制連絡調整委員会等(2)精神科救急情報センター(3)搬送体制(4)精神科救急医療確保事業(5)身体合併症救急医療確保事業―から構成されますが、小規模診療所でも参加が可能と思われるのは(4)の精神科救急医療確保事業です。(4)は「緊急な医療を必要とする全ての精神障害者等に対し医療の提供ができる体制を整えるものとし、入院を必要とする場合には入院させることができるように空床を確保する」として、「都道府県知事または指定都市市長は、地域の実情に応じて本事業が実施可能な医療機関の中から、精神科救急医療施設として指定し、実施することとする」としています。この文言を読む限りにおいては、精神病床を持たない小規模診療所が指定されることは起こりにくいと受け取れます。
ただし、当該文中の最後に「さらに圏域において外来診療による初期精神科救急患者への対応を行うための体制が充分ではない場合においては、外来対応施設を設置することが望ましい」との文言が追加されているのに注目。つまり、厚生労働省は「精神科救急医療確保」事業を円滑に進めるには、病院群輪番型・常時対応型の「精神科救急医療施設」に加えて、初期精神科患者に対応する「外来対応施設」(以下、同施設)も欠かせないとしています。同施設は「診療所にあっては、精神病床を有する医療機関との連携により体制確保」を担うもので、「外来対応施設のうち夜間、休日、全時間帯を同一の医療機関において対応する体制を整えている場合は、“常時型外来対応施設”として指定するもの」とし、中小規模の精神病院・有床診療所を念頭に置いていると見えます。また“常時型”ではない外来対応施設は無床の精神科・心療内科機能を有する診療所と想定されます。
(2026年7月24日時点での情報に基づき作成)