在宅部門では、訪問栄養食事指導を強化するため、地域の協力企業から在宅の経験豊富な岡田圭子さんを動員。現在は5~6人の患者に栄養指導を行う。岡田さんは頴田病院の特徴について「コミュニティ・ホスピタルのコンセプト通り、医師、看護師、リハビリスタッフがチームとなり訪問するので、患者さんにとっては病院がコンパクトになって在宅に来てくれるという感覚です。通常は、他法人の医師やケアマネなどと打ち解けた関係になるのに時間を要しますが、当院ではすでにチームワークが出来上がっているので、気づいたこと、困ったことをスピーディーに相談でき、とても心強いです」と話す。
頴田病院はコンセプトに「コミュニティ・ホスピタル」と掲げ、入院から在宅まで継続して患者を支えている。
栄養管理科でも若い管理栄養士が在宅を含めた様々な現場を経験し、今後求められる管理栄養士の育成を実践している。
■「コミュニティ・ホスピタル」を支える管理栄養士
福岡県飯塚市にある頴田病院は、2008年に飯塚市(旧頴田町)から麻生グループへ経営譲渡され、12年に病院を新築移転した。
本田宜久院長は「これからの日本には『コミュニティ・ホスピタル』が必要だと考えており、新病院のコンセプトにも掲げました。
コミュニティ・ホスピタルとは、『自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる』地域づくりに貢献するための、小回りの利く利便性の高い病院です。幅広い診療能力をもった総合診療を志向する医師と、ヘルスケアに関わる多職種の連携を深めながら住み慣れた医療インフラを守り活躍することをイメージしています」と語る。
同院のある飯塚市は高齢化率32・5%(25年度)と高い。患者や家族からは「通院を1カ所で終わらせたい」という意見が多かったことから、病院を、プライマリケア外来を行う家庭医療センター、在宅医療センター、回復期病棟、地域包括ケア病棟、透析センターの5つを軸に、一気通貫型で地域を支える構成に転換した。現在は約450人の在宅患者を持ち、年間188人(25年度)の看取りを行う。こうした病院の方向転換を受け、同院の栄養管理科の業務も少しずつ変化を遂げている。
同院の栄養管理科は、管理栄養士6人で構成している。なお、現在は3人が産前産後休業、育児休業取得中のため、同院所属の管理栄養士3人に加えて、グループ法人と地域協力企業から2人、人員支援を受けながら運営している。
給食管理1人、病棟や透析、外来栄養食事指導を3人、在宅訪問栄養食事指導を1人の分担で業務を遂行している。給食提供は委託会社が入り、献立作成まで委託している。
今年度の診療報酬改定では「退院後訪問栄養食事指導料」が新設された。同院でも、今後ますます在宅患者への訪問栄養食事指導の必要性と需要が高まることを見据えて、現在は院内の給食管理や栄養管理を担当している若手の管理栄養士も訪問栄養指導に同行し在宅の現場を経験するなど、育成にも乗り出している。
■多職種カンファレンスでも管理栄養士が活躍
さらに病棟でも管理栄養士の活躍の場が増えている。
同院の病床編成は回復期リハビリテーション病床28床、急性期一般32床、地域包括ケア病床36床。
透析もしているため糖尿病、高血圧、脂質異常症などの患者が多い。
また80代90代が多く6割を占める。病棟で看取り期を迎えることも多い。
入院患者に関する定例カンファレンスは、以前は医師、看護師、理学療法士、作業療法士で構成していたが、高度栄養不良の患者を対象に管理栄養士も参加するようになった。
入職5年目で現在病棟の栄養管理を担当する園田悠梨子さんは「カルテで情報を得るよりも患者さんの病状、リハビリの状況などがわかるので、食事について提案の幅が広がりました。食種や補助食品の提案、ごはんから麺類に変更する、ふりかけをかけるなどのちょっとした工夫など、管理栄養士としての見解が医師や看護師などの多職種にも役立ち、患者さんの食事や栄養状態の改善につながっていくことが実感できるので、嬉しいです」と話す。
給食管理の業務は主に委託給食会社と協力して行う。給食管理を担当する、入職2年目の奥田舜加さんは「当院の給食はおいしいと地域でも評判です。月に一度は麺類やカレー、シチューなどを提供、また季節の食材を取り入れた行事食の提供など、飽きのこない献立にこだわっています。献立作成まで委託しているため、委託給食会社の予算や調理方法と調整を図りながらも、行事食の内容充実や献立のサイクルを長くするように掛け合うなど、患者さんに定評のあるおいしい食事を提供し続けられるよう日々奮闘しています」と話す。
また現在栄養管理を担当する西かおりさんは「給食管理の業務を経て、現在は病棟の栄養管理を担当、次は透析の栄養管理を経験したいと考えています。病棟、透析、外来、在宅と、それぞれの部門で栄養指導ができます。院内でしっかりと経験を積んでから在宅の現場に出ることができますし、在宅での経験を病棟の栄養管理に活かして相乗効果を出していけたらと思います」と今後の展望を語る。
本田院長は「普段から、薬で筋肉はつくれない、やはり食事が重要と話しています。コミュニティ・ホスピタルの実現には、各現場での管理栄養士の活躍が不可欠と期待しています」と話す。
【DATA】
医療法人博愛会 頴田病院
住所:〒820-111 福岡県飯塚市口原1061-1
TEL:0948-92-2131
(ヘルスケア・レストラン 2026年7月号掲載)