電子カルテ情報共有、今冬から本格運用へ

モデル事業で課題に対応、従事者向け利用指針も

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全国の医療機関間で患者の電子カルテ情報を共有する「電子カルテ情報共有サービス」は、2026年度冬頃に全国での本格運用開始を目指している。モデル事業を通じて感染症情報や傷病名情報の共有などをめぐる課題が浮かび上がり、厚生労働省は対応方針を固めた。
■傷病名共有はフラグ設定の医師の負担軽減がカギに
25年2月から始まったモデル事業では、10地域の医療機関が参加し(9地域22医療機関で運用開始済)、臨床情報の登録から検証が進められてきた。判明した大きな課題の一つに「感染症情報の共有」が挙げられる。感染症情報は病名と直結する場合があり、医師が説明を終え、「患者への送付が可能」と判断していない情報が共有されることに医療現場から懸念が示されていた。そのため、モデル事業では「説明済み」を選択した場合に限り共有する運用となっているが、登録された感染症情報の約9割が他の医療機関や患者に共有されていない状況にある。
この課題に対しては共有先によって対応を分ける方針で、医療機関向けにはデータ登録のタイミングで速やかに共有し、患者向けには医師が「患者への送付が可能」と判断した後に共有される仕組みとする。
「傷病名情報の共有」では、「未提供フラグ」「未告知フラグ」の設定が医師の負担となり情報共有が進まない状況が続いていた。また、すべての傷病名が共有されることで真に必要な情報が伝わらない恐れも指摘されていた。対応案として、医療機関に対しては原則としてすべての傷病名を共有し、患者向けには自動的な共有は行わず、医師がそうした恐れがないと判断した傷病名のみを提供する。フラグ設定等の操作については、医師の負担とならないよう運用面での配慮が重要としている。
■アレルギー情報は「アナフィラキシー」から
「アレルギー情報」については、FHIRの入力項目「臨床的状態」「確からしさ」「重症度」「症状」の定義が必ずしも明確でなく、現場での入力作業が極めて大きな負担となっていることが明らかになった。
そのため、「重篤なアレルギー等」として、まずはアナフィラキシー(疑いを含む)から共有を進める。ただし、劇症肝炎などの重篤な症状が見られた、または見られる可能性がある場合で、他の医療機関等に共有すべきと医師等が判断した場合には、情報の登録を可能とする。
情報の登録にあたっては、他の医療従事者が可能な限り正しく理解して情報を活用できるよう、発生した際の状況や症状・所見、診断名等、物質名とともに共有が必要と思われる情報を症状等の記載欄に記載することを求める。
これらの対応方針を盛り込んだ技術解説書の改版および電子カルテ情報共有サービスの改修を経て、26年度冬頃の全国的な運用開始を目指す(図表1)。あわせて、医療従事者が共有情報の定義や電子カルテの操作方法を把握できるよう、「医療従事者向け利用指針」(仮)の作成・公表も進める予定だ。

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