国家戦略特区事業として調剤業務の一部外部委託に関する実証事業を行う薬局DX推進コンソーシアム(狭間研至理事長・ファルメディコ代表)は、先ごろ大阪市内で一般社団法人化後2回目となる会員総会を開き、実証の現状や今後の計画を共有した。コンソーシアムでは厚生労働省による政省令案策定作業と並行し、一包化以外への範囲拡大や受託薬局からの直送方式などの実証に取組む準備に入っており、中長期的展望として狭間理事長から調剤センター的な地域拠点の整備や、製剤・包装の最適化を導く形で医薬品提供体制の発展に寄与する可能性が提示された。
調剤外部委託の制度化に向けては、薬局・薬剤師の機能強化に関する検討会とりまとめをもとに、一包化および一包化に付随する内服薬の取り揃えを外部委託できる範囲とし、許可要件・体制整備、患者への説明義務といった政省令案のパブコメを経て来春の施行が目指されている。
会員総会で経過を説明した狭間理事長は、機能強化検討会に招へいされた印象として、「(とりまとめ議論は)大阪の戦略特区での実証事業結果を参考にしていただいている印象で、また議論のなかで今後(委受託を)広げていくとなった時には特区で行ってから、という意見もあり、頑張ってやっていかなければならないと感じた」と説明。特に委受託の業務範囲となった一包化に付随する内服薬の取り扱いは、まだ特区でも実証されていない事項とし、「来年まで1年あるため、ここの検証というものをやらなければならないと思っている」とした。
加えて来春から見込まれる全国展開を前に他の都道府県から視察されたり、愛知県でも特区事業が始められるといった展開を踏まえ、「戦略特区では外用薬や一包化と無関係な内服薬、直送などについての検証自体は進め、本当に対人業務の充実が図られるかどうかを検証しなければならない」と、調剤の外部委託を実質的に牽引する立場で引き続き実証を進める意気込みを示した。
委受託の業務範囲拡大と直送方式についてコンソーシアムでは、安全性委員会に各ワーキンググループを設けて具体的な実証の検討に着手。業務範囲拡大では会員企業薬剤師へのアンケートを参考に、『調剤・カプセル剤の取り揃え』と『一包化へのホチキス止め』を優先検討対象に位置づけ、既に要件などの整理に入っているとした。
直送方式導入では『遠隔鑑査の方法』および『薬袋の発行元・運用』の運用フロー、『患者単位の配送・納品管理』を論点に手順書の作成が進んでいると報告し、行政による検証作業の後、7~8月にかけて運用研修や疑似実施による実証エビデンス取得などを計画するが、「画像鑑査はどこまで正確なのか、ここまでやって効率化できるかも含め、まだまだ多く課題があると考えており、運用エビデンスを積み重ねていく作業が必要」(安村元宏委員長・スギホールディングス)との考えから、委受託薬局間での画像鑑査の実効性など段階ごとの検証を行う構えにある。
実証事業の意義について狭間理事長は、「外部委託することが目的ではなく、それによって薬剤師に〝浮いた時間〟の使い道としての対人業務充実が肝」とし、残薬・ポリファーマシー対応や在宅療養支援の拡充、OTC薬の適切な選択とフォローや予防を含むセルフメディケーション支援など、「薬剤師という限られた社会資源を如何に医薬品の適正使用、医療安全の確保にシフトさせるかを大阪でもやっていかなければならない」と強調した。
●調剤センターの稼働によって地域拠点が整備されるとの予測も
一方で今後の展望として狭間理事長は、様々な事業者から相談される事項として調剤センター的展開をあげ、ロボットやAI活用での高精度・高効率な一包化による大規模化、高額薬や希少疾患薬・抗がん剤などの在庫集約、休日・夜間を問わない24時間稼働といったことを追求する構想が出てくる可能性に言及。仮に一カ所で大量に特定調剤業務を行う拠点ができれば、品質の変化・脆弱性や移動といった一包化特有の課題解決に向け、製薬段階で一包化を前提とした製剤設計や情報提供が進んだり、包装技術的な対応が図られるなど「医薬品の包装が変わるのではないか」との見通しを述べた。
さらに「効率化は箱出し調剤への対応を考える方向性に進むと思う」としたほか、地域フォーミュラリー標準化の進展に応じ、調剤センターにおける特定後発品の集中的消費に伴って使用・生産予測が立つことで、「医薬品流通において多品種少量から少品種多量へのシフトを導くことになる。薬機法改正が医薬品の安定供給確保というところからすれば、こういうイメージが出てくるかも知れない」とした。
狭間理事長は「妄想的なもの」と断りを入れた上で、来年の外部委託制度化後、短期としては薬局内の業務集約で薬剤師の対人業務が充実されると同時に、特区での実証継続の結果をもって受託範囲拡大に向かい、2030年頃と想定する中期には「調剤センター的なものが本格的に稼働するとすれば、地域における拠点ができてくる。まず同一法人内ではできると思うし、地域で広く受けるというところが出てくるかも知れない」としたほか、こうした一連の変化によって長期的には製剤・包装の最適化が導かれるというイメージに対し、「薬局やそれぞれの事業者単独ではできないとなると、多くの関連事業者が集うコンソーシアムの立ち位置は非常に興味深いと思う」との感慨を寄せた。
(薬局新聞社)